「よくある質問」を公開しました
今までの活動の中でいただくことが多かった質問と、それに対する私たちの考えを「よくある質問」としてまとめました。
Q1, 2006年最高裁判例に対する考え方をおしえてください
A1, 2006年の最高裁判例では、入学金について返還不要との判決が出ています。返還不要という判決は「払わなくていいように」という私たちの要求を妨げるものにはならないと考えています。判例は「学費返還」を争ったものであり、私たちの活動は入学金制度が生む「受験機会の不平等」への問題提起です。
記者会見を実施した際、複数のメディアで、学生が入学金の返還を求めている、と報じられましたが、私たちは返還を求めていません。これらの報道は事実誤認を含んでいます。
Q2, 財源はどうするつもりですか
A2,財源に関する「有志の会」としての見解はありません。
署名活動は、この問題への社会的な関心を可視化し、声を届ける活動です。政治の場で財源や実効性の議論をしてもらうために活動しています。
私たちのような、どこからも資金的な援助を受けず、学業や生活のかたわらで時間や労力、交通費などを削り出して活動している有志団体が、財源の議論や実効性の検証などまで手弁当で担わなければならないとは考えていません。財源を含め、具体的な政策をつくり実行するのは、基本的に議員や官僚など、税から歳費や給与を得ている人たちの役割であると考えています。
(署名を集めて提出するだけでなく、文科省への要望や政党への政策提言などを通して、私たちに可能な範囲で、具体的な対策を提案しています。)
また、入学金に関しては実態調査がほとんど行われていないのが現状です。こうした現状で財源について議論することは難しいため、文部科学省へ実態調査の実施を要求しています。
Q3,払いたくないなら、払わなければいいのではないですか
A3,払えない、払ってほしいと親に言えない、といった事情のある受験生は、受験する大学を減らす・変更するなど「調整」せざるを得ない現状があり、それが受験機会の不平等を生んでいると考えています。
私たちが東京都にある大学について調査したところ、私立大学では実際に2月中に納入期限が来る入試方式が42%ありました。国公立大学など、3月に合格発表がある大学を第一志望にした場合、入学しない大学に入学金を払うのが難しい受験生は、42%の入試方式を選択肢から外す必要があるということです。
また、「有志の会」のメンバーに受験生はおらず、自分が払いたくないから、という理由で活動している人はいません。
Q4, 国公立大が第一志望の人だけが得をする要求なのではないですか
A4, 私立が第1志望でも、第1志望の合格発表の前に第2、第3志望の入学金納入日が来てしまう日程は多く存在します。国立大学が第一志望の人だけの利益になる要求ではありません。この署名活動も、きっかけとなったのは私立大学が第1志望だった受験生の声でした。署名本文中で国立大学の合格発表日に言及しているのは、全国である程度同じ日に合格発表が行われる国立大学を基準として例示するのが最もわかりやすいと考えたためです。
Q5, 「入学金」が「入学補償金」になるなど、名前が変えられて終わるのではないですか
A5, 私たちが求めているのは、現行の入学金制度によって起きている、不平等の是正です。
「入学金」が名前を変わるだけで現行の不平等が変わらないのであれば、それに対しても引き続き是正を要求していきます。
Q6, 入学金は不返還特約(飛行機のキャンセル料など)と同じなので、妥当なのではないですか
A6, 私たちの署名活動は大学と学生の間で交わされる個々の契約への妥当性を問うものではありません。私たちの活動は入学金制度が生む「受験機会の不平等」への問題提起です。
入学金の仕組みは、契約の内容としては一定の合理性があると考えますが、全体の現象として機会の不平等が起きており、その不平等が問題だと考えています。
Q7, 大学は、入学金収入が減れば、授業料を値上げするのではありませんか
A7, その可能性は否定できません。
授業料を含む学費が高額であることは課題のひとつであると認識していますが、「学生」としての身分を取得した後については、「大学等修学支援新制度」や奨学金等の支援制度が存在します。私たちが問題としている「受験機会の不平等」は、大学入学前に支払う必要がある学校納付金が高額であることと、受験期の経済支援の乏しさによるものです。大学に入学(「学生」の身分を取得)し、支援制度の対象になるためにも、受験期の経済負担を減らし、受験機会を平等にしていくことが重要だと考えています。
つまり、入学金収入が減ることで授業料が値上げされたとしても、受験生が経済的な理由で「受験」そのものを諦めなくていいように、入学金制度を変えていくべきだと考えています。
また、私たちの署名活動のあるなしに関わらず、大学の学費は数十年間で上がり続けており、それを止める仕組みもありません。大学が、学生との合意形成なしに学費を値上げできてしまう現状が、「授業料が上がってしまうのではないか」という不安に繋がっているのではないかと考えています。
そのため、私たちは国に対しても、「高等教育への支出増」と学費の妥当性がひろく検討され、授業料値上げの抑制がされるための「大学の詳細な会計の公開」を要求しています。
Q8, 「入学金」そのものを廃止した方がいいのではありませんか
A8,2006年の最高裁判例において、大学側の入学金の返還義務は否定されています。つまり、「大学は入学金をとってもいい」ということが法的に認められています。法的に認められたものを廃止するにはには相当な時間を要してしまい、その間にも選択肢を狭められる受験生・費用面の問題で受験という選択に至らない人は増え続けてしまいます。そのため、まずは現行の制度では支援が十分にされていない「入学しない大学への入学金」と「入学前の学校納付金の納入期限」に対して、このような要求をしようと考えました。
また、私たちの活動は入学金制度が生む受験機会の不平等への問題提起です。入学金の現状について多くの人に知ってもらうこと、議論の遡上にあげることを大きな目的としています。私たちの署名活動をきっかけに、入学金の是非や学費そのものについて闊達な議論が行われることを願っています。